これからの“農”を模索する
農業界は、「異常気象と土の劣化」「肥料などの農業資材の国外依存」「深刻な担い手不足」「膨らむ経費と上がらない収入」といった、数々の課題を抱えています。
これらの課題を解決するには、政策や補助金といったトップダウンの仕組みだけではなく、民間からはじまるボトムアップの力も大切になってきます。無の会はこれからの“農”を模索して、様々な取り組みを始めています。
栽培する場所と品種を多様にする
気候変動が騒がれる昨今、西日本を中心に異常気象の影響を受けて、高温障害(お米が白く濁ること)が多発していますが、会津でもこれまでは経験したことがなかったような暑さが常態化してきました。
無の会の田んぼは約80枚あり、これまでも平地から中山間地まで広く点在していましたが、2025年から標高700mを超える山間地の田んぼも借りてお米作りを始めるようになりました。その理由は、涼しさと水の綺麗さ、水の豊かさにあります。
これまでは空気も水も冷たすぎて、米作りには適さないとされていた地域が、逆に脚光を浴びる時代が来たように感じます。
また、西日本でしか栽培されなかった品種が、今では会津でも問題なく育つようにもなってきました。
いろいろなリスクを想定して、栽培する場所や品種を分散して生産していくことは、非効率なようで長い目では効率的なのではないか。そんな思いで取り組んでいます。
カバークロップを利用して、大面積で有機大豆・有機米を作る
全国的に、これから耕作放棄地がますます広がっていきます。
そんな土地で化学肥料や農薬を使って大規模栽培をしていくことももちろん大切ですが、肥料の99%を輸入に頼っている私たちは、いざというときのために、国内の資源だけで大規模に有機栽培をするための方法を確立しなければいけません。
私たちは、2023年よりカバークロップを利用した不耕起栽培(リジェネラティブ農業)で大豆やお米を育てる実験を始めました。全国の同志にいただいた情報を参考に、地域の機械屋さんと農機具を自作(改造)したり、大学や企業さんと一緒に研究圃場であれこれ試したり、試行錯誤を続けています。
“農”を担う人を増やす
私たちは食糧生産の担い手を増やすには、まずは農に携わる人を増やさねばならないと考えています。
農業をフルタイムで行う専業農家に加えて、月に一度数日間農園に通って、自分の仕事をつづけながらも一年間の農作業を体験していく”リモートメンバー”や、半農半商プログラムの参加者、単発で無の会に滞在して季節の農作業を手伝ってしてもらう「無來人(むらびと)」
の3つのレイヤーを用意して、農村に縁がないけれど農を志す人が、農に携わる機会をご用意しています。2024年には200人以上の無來人に来ていただきました。
無の会をきっかけに会津の風土や暮らしに惚れてくれた方も何組もおり、移住してくれたり、町の伝統文化を一緒に継承してくれていたりしています。農業に限らず幅広い分野で活躍してくれる仲間が、どんどん会津に集まってきています。
無の会が提供しているプログラム
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半農半商プログラム
選択した商品、コレクション、ブログ記事に注目を集めるため、テキストと画像を組み合わせます。可用性、スタイル、またはレビュー提供についての詳細を追加します。
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社員研修
過去にあるグローバル企業の社員さんを対象に、2泊3日の社員研修のプログラムを作らせていただいたことがあります。
会津の雄大な自然に触れ、美味いものを食べ、農作業や座学を通して、知識を身体知へと昇華させていくことを目指しました。
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高校生のための「いい消費者になるプログラム」
良い大人になるためには、まずは良い消費者にならなければならない。そのためには、頭でいろいろ考えるだけでなく、志ある職人や農家と時間を共にして、知識を超えた何かを感じなくてはいけない。
そんな想いで高校生を対象に、会津の職人さんと連携してプログラムを提供しています。