
【読書感想文 『風の谷のナウシカ』】by たくや
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いよいよ真夏に突入しましたね!夏といえば読書感想文。ということで今月は私の読書感想文を、誠に勝手ながら読んでいただきます(笑)。課題図書は『風の谷のナウシカ』。ご存知の方も多いと思いますが、ナウシカには宮崎駿の漫画版が存在し、映画版より遥かにボリュームのある内容となっています。一言では形容しがたい素晴らしい作品なので、ぜひお手に取っていただきたいです。極力ネタバレは控えます!
【設定の緻密さ、世界観の構築力の高さに圧倒さました】
優れたSF作品はみな、一つの科学技術が覇権を握ったとき、人々の価値観はどう変わるのか、どのような社会システムが実装されるのか考え抜かれており、ナウシカの設定の緻密さも突出しています。火の七日間によって世界中の都市と土が焼き尽くされた後、自然はどのようにリカバリーを始めるのか。人々は自然とどのような関係を結ぶのか…
この作品を読んで我が身を振り返ってみると、私達の生きるこの世界も、誰かが造った設定の上で生きているだけだとも考えられます。ちょっと陰謀論臭いですが、農業に携わり、乱高下する米の価格や農家の減少を肌で感じていると、そういう捉え方もできるなぁと。そのとき、この設定の行く末はどのような世界になるのだろうか。次なる設定に向けて何を準備すればよいだろうかと考えてしまいます。
【土と人との関係性について考えさせられました】
宮崎駿作品には、「土」に触れたセリフやナレーションが多く登場します。
汚れているのは土なんです!(『風の谷のナウシカ』)
人は、土から離れては生きられないのよ。(『天空の城ラピュタ』)
人類は地上に生まれてよりこの方、大地の恵みを譲り受けながら生きてきました。一万年前に農耕が始まってからは、土地・労働集約により一層多くの恵みを受け取ってきました。しかしそれが、技術の進歩とともに「享受」から「搾取」へと、大地と人間の関係が変化してきたのが近代であり、その成れの果てがナウシカの描く世界です。土が汚れ、残された土地を求めて人々が争う世界は悲劇そのものでした。
無の会とZEN-BUの事業の根幹は「土づくり」にあると自負しています。しかしその方法論は確立されておらず探求の道です。思考に偏るとどうしても「コスパ」「タイパ」のような、効率重視の考えにシフトしてしまうのですが、それでは「土づくり」の本質からずれていくと感じています。大切なのは直観を鍛え真実を見極める目をもって、土と人との関係を結び直すことだと考えています。
【ナウシカは人間讃歌でした】
作品では人間の弱い部分、愚かで醜い部分がまざまざと描かれています。残された土地を求めて殺し合う人々、敵を討つためだけに生命を弄ぶ科学者、我欲を満たすために民衆を平気で見殺しにする王、人々の心のスキマにつけこみ人心を掌握する宗教者…
戦争に巻き込まれ人間のそういった部分に直面するたび、ナウシカは何度も心が折れ虚無に襲われます。しかしナウシカは絶望と同じぐらい、人間を愛していた。人間の清濁あわせ呑む器の大きさを得たナウシカが、物語の最後にくだした決断とは…!?
現代社会でも、抱えている悩みの大半は人間関係ではないでしょうか?私はそうです(笑)。
私にはナウシカのような極端な経験も器も特にないのですが、ナウシカが人間愛に至る過程は、無の会で働く仲間がいることへの感謝、代表の児島や会津の人々への感謝、そして支えてくださるお客様への感謝に、改めて気がつく機会をもらえました。