
会津農書の伝統農法
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17世紀後半、会津盆地の百姓は、雪国ならではの循環農法によって、全国平均の2倍以上のお米を収穫していました。その秘密が書かれたのが、「会津農書」です。
この日本を代表する農業古典には、時を経ても変わらない「農」の本質と、江戸時代には当たり前だった「循環農法」の知恵が、克明に記されています。
「農は天下の本、本立ちて道生ず」
(農業は天下国家の基本であり、基本が確立してこそ、天下国家の道も生まれる)
「会津農書」に基づけば、現代農業のように自然を人間の都合で一方的に支配するのではなく、自然に学び、地元の経済の営みや、会津の発酵文化を取り入れ、多雪地域における自然のエネルギーを最大限に活用することで、人の手を極限まで減らし、かつ、最高品質の作物を育てることが可能になるのです。
そして近年、こうした伝統農法が、現代科学によって裏付けられるようになってきました。現代の有機農業理論(BLOF理論)に基づくと、「会津農書」の記述には、会津の気候・土壌の特性、発酵微生物のはたらき、作物の生理生態、土の栄養バランスなど、それぞれの関わりの本質を捉えていて、全体の調和を目指した実践知であったことが分かってきたのです。
こうした考え方を基に、無の会では、土壌検査や施肥設計を「会津農書」の伝統農法に組み合わせることで、地域資源を循環させながら、年を追うごとに豊かになる土づくりを追求しています。