無來人 ライアン

稲刈りで大忙しの9月中旬。とあるナイスガイが無の会を訪れ、メンバーと繁忙期の苦楽を共にしてくれました。

熟練の農家でさえ音を上げたくなるような長時間に及ぶ重労働も愉しくこなす彼は、これから食に携わるために、まずは現場を知ろうと考えて行動できる殊勝な17歳でした。そんな彼の目に、無の会での生活はどのように映ったのでしょうか。

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自分はいま高校三年生で、来年から調理師専門学校に行って日本食を学ぶ予定だ。今回無の会に来たのは、これから料理人になろうとしているなかで、実際に農業の現場に行き食べ物を作る大変さを自分で経験してみたかったのと、うまい白米が食べたかったからだ。

無の会がある会津美里町は田舎とは聞いてたけど、どんな所なのかワクワクしていた。行ってみたら結構な山里で、車がないとどこにも行けない。けれど、のどかで綺麗な場所だった。無来人としての初日、稲刈りで忙しい時期なのもあって到着するとすぐに仕事に取り掛かった。荷物下ろしてとりあえずこれを蔵に運ぶのを手伝ってと言われてついて行くと、近くの酒蔵に酒米を納める作業中で、30キロの米袋をひたすら運ぶ仕事をした。普通に生活していたらまず出来ないことだから、めっちゃ楽しかった。300袋を運び終わると、人生初、軽トラの後ろに乗って風にあおられながら本拠地に移動。初日で全身バキバキになったけど、それよりも楽しくて、無の会メンバーはみんないい人だし、ここに来てよかったと初日で思った。

それから1週間は、毎日が濃かった。ほぼ全てが初めての体験ばかり!色々な作業を任せてもらって、例えば稲刈りをする田んぼの周りの草刈りをした。田んぼの土手は斜めだから、所々土を削ってしまったり難しかったけど少しずつコツを掴んで、最後の方はうまくできた。他にも、稲刈り前の田んぼに入って稲を掻き分けながらクサネムという雑草を取ったり、稲刈り中の田んぼに行き、コンバインに追われながらクサネムを取ったりもした。田んぼ以外でも、これからいちごを植える予定のハウスでも作業した。アブラムシの被害を少なくするためにいちごを植えるため木枠を作るということだったけど、試行錯誤の積み重ねだった。初日に作った枠が全然だめだったらしく、次の日には全てバラバラになっていて、また作り直すことになった。4日目は朝早くから日が暮れるまでハウスでずっとビス打ちをしてめっちゃ疲れた。でも工具をうまく使えるようになったし、完成品ができた時はもの凄い達成感があった。他にも、背中になたねの種と機械を担いで、なたねの種をまいたりもした。どの作業もめっちゃいい筋トレになった!

無の会に滞在中はほぼ毎日ご飯作りもした。慣れていないキッチンでの料理、かつ農作業に疲れた大人数のためのご飯だったので、味付けや作業の効率化などが難しかった。特に一回、これからいきなり12人来るからご飯作って!って連絡された時はすごく焦ったけど、僕を含めた3人でなんとか色々作って間に合わせることができた。また、採れたての材料を使った料理は普段と違う喜びがあった。僕は無類の枝豆好きなのだが、無の会の大豆畑では枝豆の食べ比べができた。同じ品種でも育て方や畑の区画ごとに味の違いがあって勉強になった。お米に関してもそうで、毎日違うお米、品種は2種類でも田んぼや熟成期間ごとに食べ比べた。それぞれ甘みや食感が全然違って、特に自分のお気に入りは隕石米とたけちゃん米だった。

今回1週間滞在して思ったのは、無の会のやっていることは本当に凄いことだということ。自分たちで肥料も作っていて、作物は全て無農薬。先例の少ない中でこれらをやるのは本当に難しいことだと思うし、今回実際に無農薬だからこその作業の多さを経験し圧倒された。1週間の滞在を終えて普段の生活に戻ると、スーパーが違って見えた。野菜、米、味噌、当たり前にスーパーに置いてあって買えるもの。でもその一つ一つは人の努力の結晶なんだなと実感したし、これからはさらに食材一つ一つに感謝しながら料理をしようと思えた。その姿勢と新しい経験への好奇心から、またすぐここにくる!と初日に決めた。心の底から楽しかった。本当にきてよかった。

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