夢来人 りんちゃん(農業経済専攻の大学生)

 大学のサークル活動を通して、いろいろな農家を巡っている若者が無の会を訪ねてくれました。彼女の滞在中には、磐梯山に登ったり、猪苗代湖で催されていたマルシェに行ったりと、イベントが盛りだくさんでした。素直に色々と吸収していく彼女の、これからが楽しみです。

 来るべくして来た場所だったと思う。

 良い土をつくることで、良い米や野菜が強くすくすくと育っていく。無の会で育ったもので出来た食事をとっていると、それをすごく実感した(初日に食べたナスの土っぽい美味しさは衝撃だった)。同様に、人がすくすくと生きていくためにも良い土づくりが必要なんじゃないか。と、無の会での滞在を経て思った。

 早朝からで作業をして、腹ぺこになった状態でごはんを食べて、日中は暑いから中で作業をして、ごはんを食べてから日が沈むころにまた外で作業をして、夜は一日の振り返りをして美味しいおさけを飲んで寝る。そしてまた1日が始まるーそんな5日間を過ごした。身体になるべく負担をかけずにやることを着実にこなしていくようなスタイルが心地よかった。

 一日の振り返りの際に、メンバーがその日作業をした場所の作物や土の状態から気づいたことを伝える。時には実際に土壌分析も行い、よりよい状態に整えていく。ここに来るまで,

 正直自然農法は「ほったらかし」て、作物をつくる農法のイメージだったが、そうではなかった。田畑の声をちゃんと聞いているというか、人間と自然の生かし生かされる対等な関係性があった。そうして育てられて食卓に並んだ米・野菜、さらには甘酒や納豆などの加工品は、どれも力強さを感じる美味しさがあった。

 私の滞在期間は、磐梯山に登ったり地域のイベントに行ったり急遽篳篥の演奏会が開かれたり、イレギュラーで素敵なイベントも多かったのだが、それを含めてもこの5日間を楽しかったという言葉で終わらせてはいけない感じがした。そこで出会った人たちそれぞれと話した時の記憶が今もずっと鮮明に残っていて、そういった記憶はそれこそ自分がこれから生きていくための土をつくるものになっていきそうに思われたからだ。みんなそれぞれに個性があって、それを互いが隠さずに出して、認め合ってる感じがした。なんだかみんな、根をしっかり張って自分らしい生き方を見つけたような清々しさを感じさせた。無の会としての取り組みとしても、個人の生き方としても、こういうやり方もあるんだなと思った。私は正直、まだ根を張れていない。軸がない考えや行動が多い自覚がある。でもここで、いくらかは土を作れたとは思う。

 

 自分の中の風景が変わったころ、また行ってみたい。

 最後に無の会の皆さん、5日間お世話になりました。あそこで思ったこと、感じたことを言葉にまとめることはなかなか難しく、うまく書き切れていない感じも正直ありますが、とにかく皆さんと過ごせて良かったです。ぜひまた、訪問させてください。

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