無の会便り2月号

 農家の1月といえば、ずっとお正月気分でのんびり過ごせるのかなぁ。なんて悠長に構えていましたが、蓋を開けてみれば、春に向けてやるべきタスクたちがにやにや微笑みかけてくるので、泣く泣く面倒を見ていた…そんな一月を過ごしました。段取りの大切さを痛感する日々です。みなさまいかがお過ごしでしょうか。

 今年最初のイベントは、もちろん初詣!会津一宮の伊佐須美神社をはじめ、村社や田んぼ周りのお寺など5ヶ所に参り、昨年を無事に終えられたことへ感謝しつつ、今年も良き年となるようにお祈りしてきました。

 会津の正月料理と言えば「こづゆ」です。具材がたくさん入ったすまし汁といった感じで、家庭ごとに特徴があります。腹を減らした若者たちを気遣ってか、親戚やご近所さんがこづゆをお裾分けしてくれて、結局5食も楽しむことができました。ありがたや。

 13日には、町の“奇祭”「大俵引き」がありました。南北二方向からお神輿を担いだ若者衆が集まり、商店街の真ん中で重さ3tの俵を引き合う、綱引き大会です。地元のおっちゃんたちに混ざって祭りに参加するのは初めてで、たくやもたけおも貴重な時間を過ごせました。

 農作業がない時期を生かして、面白い農家をめぐろう!ということで、先日たくやとあやなが、岩手県の「なかほら牧場」と、宮城県の「ウレシパモシリ」に行ってきました。同じ東北と言えども、片道8時間のドライブはとっても大変。でもその甲斐あって、良い時間を過ごせたようで、無事に帰ってきた2人の顔は晴れ晴れしていました。

 宇野は新事業の広報活動・資金集めのために関東に出張して、ひたすらプレゼンをし続け、岡ちゃんは人手不足の酒蔵で、雨の日も風の日も休まずひたすら酒造りに勤しみ、たけおは年末にやれなかった大掃除や、村の歳の神に参加する。相変わらず好き勝手でありながら、各自の役割を持って活動する日々です。

 なぜかメンバーが増えつづける無の会。あやなを迎え、ますます活気づいた無の会のこれからの飛躍にご期待ください!

【コラムNo.5:なかほら牧場旅行記

 なかほら牧場は岩手県北東部の山あいにある。盛岡から2時間強、牧場への道は山間を縫うように進み、曲がるたびに急峻な森の壁が裂け、新しい冬景色が姿を現す。1月上旬、裸の木々は白い粉雪をまとって佇んでいる。今年は特に暖かく、時折、小さな川が雪をかき分けながら近くの海へと流れていくのが見える。到着すると、聖域に入ったという感じがする。極寒の山風にさらされても暖かくいられるほど、寛大さと心配りにあふれた場所だと直感した。

 入り口には建物が立ち並び、山の上には牛たちが風を切って立ち、遠くからでもその冬毛が見える。牧場のオーナー牧原さんが出迎えてくれ、牛を見るために牧草地へ連れて行ってくれた。牧原さんは、これ以上ないほど思慮深く、寛大なホストだった。彼が牛たちを愛し、理解していることは、牛たちのユニークな行動について語る彼の穏やかな様子からも明らかだ。また、牛と話すときの彼の目の輝きからもわかる。そう、彼は牛に話しかけるのだ。外から見れば奇妙に見えるかもしれないが、彼は自分の牛を心ない動物としてではなく、複雑で知的な生き物として見ている。彼が自分の哲学を説明するとき、私は最初、彼が自分の飼っている動物たちに対して、人間同士と同じように敬意を払っている様子に衝撃を受けた。しかし、彼の説明を聞いているうちに、彼が動物たちに払っている尊敬の念は、多くの人間が人間同士に払っているそれを凌駕していることに気づかされた。もし私たちが牧原さんを見習い、イライラするような状況に陥ったときにも、それは相手が無知であったり、敵意があるからではなく、むしろ私たちが相手の考えや行動を十分に理解する時間を取っていないからだと理解することができたら、どんな世界になるだろうか。

牧原さんが言うように、牛と円滑に仕事をするためには、牛に話しかけ、牛の話を聞かなければならない。牧原さんの仕事は牛をコントロールすることではなく、牛が信頼して世話を任せてくれる人になることだ。牛を本当に理解するためには、季節によって変化する牛の毛並みの感触を感じ、牛の性格をよく知り、何か違和感があればそれに気づき、牛の目を見て、質問に対する反応を聞かなければならない。読書や勉強では理解できないことがある。経験しなければならない。そうして彼は、牛の放牧から搾乳、加工にいたるまで、経営のあらゆる側面を惜しみなく見せてくれた。「見せられないものは何もない。もしお見せできないものがあるとしたら、それは私の経営が間違っているということです。」

このような心遣いと配慮の証は、よく言われるように、プディングの中にある。私は普段、乳製品を食べるとお腹を壊してしまうのだが、新鮮な牛乳、バター、ヨーグルト、プリンを何の問題もなく楽しむことができた。新鮮な牛乳の味は、温かく甘いクリーミーな層と、この牛たちが育っている緑豊かな牧草地の香りを含んでいる。牛が食べているもの違いから、季節によって微妙に味が変わるのだと牧原さんは教えてくれた。春はみずみずしい緑、夏は濃緑、秋はほのかな甘み、冬はほっこりとした温かさ。

季節によって牧場の運営や牛たちの日々の暮らしがどのように変化していくのかを知るために、夏にまた訪れるのが楽しみだ。なかほら牧場は一年中いつでも訪れる価値がある。読むだけではわからない、体験しなければわからないことがあるのだから。

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