
創業秘話
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「会津の森を守る」
この思いをきっかけに生まれたのが、自然農法 無の会です。
1980年代後半、バブルの真っ盛り。
当時の中曽根内閣の方針のもと、日本全国でリゾート開発のブームが巻き起こっていました。その波は、ここ会津にも訪れました。
山間部に広がる広大なブナの森林を、バッサリと切り拓き、大規模リゾートに変える計画が立ち上がったのです。町は国から補助金をもらい、大手建設会社との契約も済ませ、ついに工事が始まろうとしていました。
そんな中、一部の町民が立ち上がります。
世界的にも希少で、会津の自然循環において極めて重要な役割を果たしているブナの森林を守るために、リゾート開発に反対する住民運動が始まったのです。このとき、反対運動の資金調達に奔走したのが、のちに「無の会」を創業する児島徳夫でした。
“今、起ころうとしているリゾート開発は、バブル期特有の一時的なブームでしかない。でも、それによって失われる自然は、もう戻ってこない。”
児島は、本能的にそう直感しました。そして、地元の自然を愛する仲間たちと共に精力的な活動を展開し、住民投票の結果、会津におけるリゾート開発計画は中止となったのです。
この経験をきっかけに、児島は環境問題への理解を深めていきます。
やがて彼は、現代の慣行農業が環境破壊に大きく関わっていることに気づきます。
農薬、除草剤、化学肥料の多量投与によって、自然の生態系が大きく崩され、それが人の心身にも悪影響を及ぼしていることが、少しずつ明らかになっていったのです。
“もっと自然に即した農業の在り方を、形にしなくてはならない。”
その想いを追いかけて、児島は本業であった県立高校の英語教員を続けながら、科学的にも世間的にもまだ未知だった、無農薬・無化学肥料による稲作を手探りで始めました。
それから10年の歳月をかけて有機栽培への理解が深まったのち、児島が設立したのが、「自然農法 無の会」です